舗装にデザイン(意匠)を施す目的は、大きく分けて次の2つになります。
舗装にデザイン(意匠)を施す大きな目的の一つが、道路・通路などの景観性を向上させること。素っ気ない普通の道路にデザイン(意匠)を施すことで、全体が明るくなり、とても心地の良い景観になります。通行する人たちの気持ちも明るくなるのではないでしょうか。
また、デザイン(意匠)を施された舗装は、何のデザインもないシンプルな舗装に比べ、資産価値が高くなる傾向があります。集合住宅の敷地内にある共有の通路などにデザイン(意匠)を施せば、集合住宅そのものの資産価値向上が期待できるでしょう。
他にも、古くなった道路を改めて綺麗な状態にしたい時に、舗装にデザイン(意匠)が施されることもあります。
道を通行する人の安全対策として、舗装にデザイン(意匠)が施されることがあります。
たとえば、歩道上における歩行ゾーンと自転車ゾーンの区分け。片側にデザイン(意匠)を施して歩行者と自転車の通行ゾーンを区分けすることで、自転車と歩行者の衝突などのリスクを軽減させることができます。車道と通学路の色による区分けも、よく目にすることでしょう。
障碍者マークなどの表示もまた、安全対策を目的とした舗装デザインの一種となります。
デザイン舗装(意匠性舗装)の選び方のポイントとして、次の4点を確認しておきましょう。
多くの人がその上を移動する以上、耐久性の高いデザイン舗装を行う必要があります。簡単に剥がれたり薄くなったりするデザイン舗装では、頻繁に施工が必要になるためコストがかさんでしまうからです。
耐久性の高さを前提にしつつ、やはりコストにも目を向けてみなければなりません。同じような舗装であるにも関わらず料金が異なる場合には、何が原因になっているのかを確認してみましょう。品質などに大きな違いがなければ、コストの低いほうを選ぶようにします。
個人の敷地ではなく、共有スペースや共有通路にデザイン舗装を施す場合には、工期を確認することも大切です。デザインを施した後、乾燥して歩行できるようになるまで時間がかかる素材や工法もあるため、周囲への影響を考慮した工期の施工法を選ぶようにしましょう。
カラーバリエーションの種類や意匠性付与の範囲、防汚性や防滑性の程度、バリアフリーへの対応(段差の程度)なども考慮し、その環境に相応しいデザイン舗装を選ぶようにしましょう。
デザイン舗装における工法や素材の主な種類を見てみましょう。
アスファルトやコンクリートの上に型紙を貼り、上からカラースプレーを吹き付けて行うシンプルなデザイン舗装。工法はシンプルですが、仕上がりは高い意匠性を持つことが特徴です。遊歩道、店舗やレジャー施設の床など、様々な場所が対象となります。
コンクリートなどの床面に、目地模様を打ちぬいた型枠を貼り付けて塗料を塗りこむデザイン舗装。美しいタイル模様となるため、都市景観には非常にマッチします。歩道や遊歩道などでよく見かけるデザイン舗装です。
加熱して軟化したアスファルトの上にテンプレートを設置し、上からコンバーターでテンプレートを加圧していくデザイン舗装。テンプレートを外して施工面にコーティング材を塗布して完了です。デザイン性、経済性、滑りにくさ、耐久性などが特徴。
コンクリートやモルタルなどの床面に、レンガ調や石畳調などの風合いを再現する意匠性の高いデザイン舗装。歩道や公園の通路、レジャー施設の床面、マンション敷地の共有部分など、様々な場所に採用されています。
コンクリートブロック同士をかみ合わせる要領で施工するデザイン舗装。石材やレンガを敷き詰める際と同様の施工法になります。歩道や公園、建物の外構などはもとより、大型車の走行する車道まで幅広く採用されています。
光エネルギーを吸収し、夜間など暗くなった時に光を放出することができる蓄光石をセラミックスなどに練りこんで道路などの舗装に使用する舗装です。強度が高く耐候性にも優れているのが特徴で、景観はもちろん、夜の街や地下鉄などでの停電時の避難誘導材としての備えにも用いられています。
ドライドライテックと呼ばれる透水性舗装仕上材を使用し、道路の排水設備の負担を軽減することができる舗装です。ドライテックはタイルや石材・砂利敷きなどの下地材に使用することも可能な上、カラーバリエーションも豊富で景観にも優れています。
一般的に広く使用されている舗装で、骨材や混合物の種類によって透水性のある舗装もできるのが特徴です。コンクリートの剛性を併せた半たるみ舗装やカラーアスファルト舗装など様々な舗装が可能です。
アスファルト舗装の1つで雨天時の道路での車のハイドロプレーニング現象の防止や水はね、水たまり、水しぶきを防ぐ特徴があります。水を通しにくい物質を敷いた基層と多孔質の物質を敷いた表層の間に水を通し、排水処理施設へと水を流す構造になっています。
シリコーンアクリル樹脂とは、シリコーン樹脂とアクリル樹脂を反応させて生成した特殊な樹脂。一般に、外壁などの上塗りなどで使用される樹脂で、約15年という耐用年数の長さも特徴です。昨今では水性のシリコーンアクリル樹脂が多く活用されるようになってきました。
アクリル樹脂の一種。透明度が高いことから「プラスチックの女王」と呼ばれることもあります。耐候性、熱的特性、機械的強度などのバランスが良く、身近には自動車のライトカバー、パソコンの液晶ディスプレーなどで目にします。
アクリル樹脂のうち、水性素材塗料の総称。薄膜型ウレタン樹脂系塗料、薄膜型エポキシ樹脂系塗料、硬質床専用ライン塗料など複数の種類があります。コンクリートやモルタル、石材などにデザイン舗装を施す場合には、硬質床専用ライン塗料が適しています。
エマルション(水系)樹脂とセメント系パウダーを混ぜ合わせた素材。有機溶剤を使わずに生成するため、環境に優しい素材として知られています。主に、マンション屋上やベランダ、バルコニー、開放廊下、急勾配屋根などに活用されています。
ヨーロッパなどで古くから使われている素材。1つ1つに焼物ならではの微妙な色調の違いがあり、この違いこそが全体的に自然で素朴な雰囲気を演出します。遊歩道やエクステリア広場など、様々な場所で目にする素材です。
落ち着いた石畳のアプローチ、レンガやブロックを組んだファッション性の高い歩道など、景観に合った高い意匠性を求める場合。普通の舗装では物足りない、施設や周辺の建物とデザインに統一感を持たせたいケースに。
石畳とまではいかなくとも、細かい自然石や玉砂利の風合い、歩いたときの感触を求める場合。 単純なアスファルト舗装ではなく、足元に彩りや自然のやさしさをプラスしたいというケースに。
駐車場、歩行者通路、広場、競技場など、アスファルトにカラーをプラスして色分けをしたり、文字や記号・イラストを描いたり、機能性を持った舗装をしたいという場合に。
※「デザイン 舗装材」「景観 舗装材」で2021年8月20日時点で自然検索50位までに公式サイトが表示されていた舗装材、また製品名で検索数の多い企業が展開する舗装材から、条件ごとにバリエーションの多い舗装材上位3シリーズ(洗い出しは2シリーズ)を紹介しています。