堤防は、河川の氾濫などで水が浸入するのを防ぐため設けられた構築物です。河川などを囲むように設けることで、水位が高くなったときも安全に暮らせます。堤防はのり面と天端などで構成されます。のり面は土を盛ることなどでできた斜面、天端は堤防の最も高い部分です。天端は、見回り点検や管理用道路として重要な役割をもっています。また、周辺環境によっては、地域住民の散歩道などになることもあります。したがって、河川環境に支障を生じない場合は、舗装することが望ましいと考えられています。
舗装のポイントは、堤体へ雨水の浸透を助長しないように適切に管理することと構造面からのり肩(のり面と平場の交点)を保護することなどです。堤防の役割を考えると、まずは機能面を重視するべきといえるでしょう。とはいえ、周辺環境によっては、デザイン面も無視できません。美しく舗装された天端は、地域住民の憩いの場になる可能性があるからです。したがって、景観舗装材選びが重要になります。必要な機能を満たすことはもちろん、地域住民に愛されるデザインにするべきといえるでしょう。
基本の景観舗装材といえるのがアスファルトです。アスファルトには水を浸透させないもの、水を浸透させるものなど、さまざまな種類があります。天端舗装には、コンクリートも用いられています。コンクリートの特徴は、アスファルトよりも剥がれにくく長持ちすることです。環境によっては、コンクリートのほうが適していることもあります。いずれにせよ、堤防に求められる機能や地域住民に親しまれるデザインなどをもとに、景観舗装材を選ぶことが重要です。
雲出川堤防天端舗装工事の事例です(2015年)。雲出川は、奈良県と三重県の県境にある三峰山から伊勢湾へと流れています。アスファルト舗装で、堤防天端が美しく舗装されていることがわかります。堤防の管理あるいは散歩などを気持ちよく行えるはずです。
奈良県磯城郡を流れる曽我部川堤防で行われた天端工事の事例です(2021年3月竣工)。アスファルト舗装面積は、2,410平方メートルとなっています。このほか、縁石工事・防止柵工事・構造物撤去工事なども行われています。アスファルト舗装により、通行しやすい環境になっていることがわかります。また、すっきりとした景色になっている点も見逃せません。
アスファルト舗装を行った事例です。施工エリアや舗装面積などは公開されていません。周辺環境から、地域住民に欠かせない生活道であることがわかります。路面が美しく整備されたことで、川辺を通行しやすくなったはずです。
落ち着いた石畳のアプローチ、レンガやブロックを組んだファッション性の高い歩道など、景観に合った高い意匠性を求める場合。普通の舗装では物足りない、施設や周辺の建物とデザインに統一感を持たせたいケースに。
石畳とまではいかなくとも、細かい自然石や玉砂利の風合い、歩いたときの感触を求める場合。 単純なアスファルト舗装ではなく、足元に彩りや自然のやさしさをプラスしたいというケースに。
駐車場、歩行者通路、広場、競技場など、アスファルトにカラーをプラスして色分けをしたり、文字や記号・イラストを描いたり、機能性を持った舗装をしたいという場合に。
※「デザイン 舗装材」「景観 舗装材」で2021年8月20日時点で自然検索50位までに公式サイトが表示されていた舗装材、また製品名で検索数の多い企業が展開する舗装材から、条件ごとにバリエーションの多い舗装材上位3シリーズ(洗い出しは2シリーズ)を紹介しています。